ティラミスヒーロー事件の真相|商標乗っ取りの結末と現在の姿を追う

ティラミスヒーロー事件の真相|商標乗っ取りの結末と現在の姿を追う

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事件から数年が経ち、ネット上では一部の事実誤認や誇張された噂も散見されます。それらの真偽を検証すると、現代のビジネスにおける構造的な脆弱性が見えてきます。

まず「模倣側は刑事事件として逮捕されたのか」という疑問ですが、刑事責任による立件や逮捕はありません。商標法は原則として「最初に出願した者を保護する」という先願主義を採用しており、特許庁の審査を形式的に通過して登録された時点では、形式上の権利行使が合法とみなされていたためです。この事件の恐ろしさは、明らかなフリーライド(ただ乗り)行為であっても、審査の過程で周知性が十分に立証されなければ商標登録がすり抜けてしまうという「制度の隙」を衝いた点にありました。

また「gram側が独自に開発した新しいティラミスだったのではないか」という擁護論も一部にありました。しかし、看板からメニュー構成、さらにはキャラクターのポーズに至るまで本家シンガポールの意匠を忠実にトレースしていた事実は覆せませんでした。特許庁の審決でも、本家の築き上げた名声や信用を不当に利用する目的が明確に認定されています。法を盾にした露骨な模倣行為は、たとえ一時的に形式的権利を確保できたとしても、市場からの激しい反発と法的是正によって最終的に破滅を迎えるという教訓を残しました。

吉田 誠
著者

吉田 誠

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