立ち食いそばチェーンでありながら、名代富士そばを語る上で絶対に外せないのが富士そばかつ丼の存在です。社内売上ランキングにおいて、主役であるはずのかけそばやもりそばを抑え、長年にわたり単品・セット合わせて年間トップクラスの売上シェアを維持し続けているという、飲食業界でも極めて珍しい現象が起きています。
なぜ専門店のカツ丼ではなく、富士そばのカツ丼がここまで中毒的な支持を集めるのでしょうか。その理由は、現場取材や調理工程の検証から明らかになっています。
- 毎朝各店舗で丁寧に煮出される特製出汁:かつ丼のタレは、そば用のかえしと出汁をベースに調合されており、醤油のキレとみりんのコク、鰹節の風味が豚肉の脂身に絶妙に絡み合います。
- 注文ごとの個別小鍋調理:作り置きの大量保温ではなく、注文が入るたびに専用の浅い小鍋にカツと玉ねぎを敷き、特製タレを注いで卵でとじる丁寧なオペレーションを貫いています。
- 絶妙な火入れと衣の食感:完全に固まりきらない半熟トロトロの卵と、タレが染み込みつつも端に微かなサクサク感を残した衣のコントラストが、短時間での提供でありながら家庭料理のような安心感を醸成します。
SNSやネット上のコミュニティでも「疲弊した深夜や残業帰りに無性に食べたくなる」「上品すぎない、出汁の濃いジャンク感がたまらない」といった声が数多く見受けられます。また、朝の時間帯(朝5時から10時前後)に提供される富士そば朝そば(温泉卵やきつね・たぬきが選べる限定メニュー)と並び、かつ丼とミニそばのセットは、忙しい現代人のエネルギー源として揺るぎない信頼を勝ち得ています。