赤ちゃんの笑顔は、月齢とともに質的な変化を遂げていきます。生まれた直後の赤ちゃんが眠りながらふと口元を緩める現象は「新生児微笑(生理的微笑)」と呼ばれ、感情によるものではなく、脳幹の原始反射による無意識の筋肉の動きです。これは周囲の養育者に「守りたい」という本能的愛着を抱かせるための、進化心理学的な生存戦略であると考えられています。
自発的なコミュニケーションとしての笑顔が芽生えるのは、視覚と大脳皮質が発達してくる生後2ヶ月前後です。周囲の人の顔や声、あやしかけに反応して見せる「社会的微笑」が始まると、生後2ヶ月であやすと笑う場面が増え、生後3ヶ月頃には笑顔の反応が一層豊かになります。この時期、赤ちゃんの笑顔と脳の発達は密接に関係しており、養育者の表情を真似るミラーニューロンの働きや、心地よさを感じる大脳辺縁系が活性化することで、表情のバリエーションが急速に広がっていきます。