「全粥」とは、お粥の体系における基本形であり、一般的に生米に対して5倍の重量(または体積)の水を用いて炊き上げたものを指します。お粥の名称には「全」「七分」「五分」「三分」といった分数が用いられますが、これは「米の割合」ではなく「米に対する水の希釈度合い」を示している点に多くの人が混乱を覚える原因があります。
医療機関や高齢者施設給食の標準献立表でも、全粥は「軟飯(米1:水2〜3)」の直前、固形食へステップアップする最重要段階に位置づけられています。米粒が限界まで水分を吸収してふっくらと膨らみ、粒の輪郭を辛うじて留めながらも舌や歯ぐきで抵抗なく押しつぶせる状態が全粥の完成形です。
これに対し、全粥と五分粥の違いや全粥と七分粥の違いは、仕上がりの「重湯(おゆ:米から溶け出した上澄み液)」と「米粒」の比率にあります。七分粥は米1に対して水7の比率で炊き、米粒が7割・重湯が3割程度の質感になります。さらに五分粥は米1に対して水10の比率で炊き上げ、米粒と重湯が半々(5対5)になるサラサラとした状態です。水分が増えるほど一度に摂取できる炭水化物量は減るため、身体の回復度合いに応じてこの比率を段階的に引き上げていくのが栄養管理の鉄則です。