『ドリフ大爆笑』の代名詞とも言える看板コーナーが、1977年の第1回から継続されたドリフ大爆笑 もしもシリーズです。「もしもこんな〇〇があったら」という仮定から始まるこの企画は、日常のありふれた空間を不条理な異空間へと反転させる画期的なフォーマットでした。
関係者の回顧録や制作スタッフの証言によると、「もしもシリーズ」の原型はリーダーのいかりや長介とチーフプロデューサー・演出陣との徹底的なブレインストーミングから生まれました。長大なストーリーを語るのではなく、設定の面白さとテンポの良いショートスケッチを連続させる構成は、視聴者を飽きさせないための高度な戦略でした。
このフォーマットの中で、メンバーそれぞれの個性が極限まで研ぎ澄まされました。
- いかりや長介の受けの美学:理不尽な状況に巻き込まれ、最後に放つ「だめだこりゃ」の一言。いかりや長介 名言として定着したこのフレーズは、視聴者の溜飲を下げ、混沌としたコントを完璧に締めるカタルシスをもたらしました。
- 志村けんの破壊的キャラクター:「もしも威勢のいい風呂屋があったら」「もしも気の長い居酒屋があったら」など、常識を逸脱したエキセントリックな店主・店員を怪演。志村けん コントの真髄とも言える強烈なキャラクター造形がここで確立されました。
- 加藤茶の軽妙洒脱なリアクション:志村の暴走を受け止める客役や、逆に志村を翻弄する飄々とした老人役など、自在な立ち回りで笑いを増幅させました。
一見すると自由奔放なアドリブに見える掛け合いも、実際はドリフ大爆笑 舞台裏の真相として知られる通り、ミリ単位の立ち位置やセリフの抑揚まで厳密に計算されたリハーサルの賜物でした。いかりや長介の自著『だめだこりゃ』にも記されているように、妥協を許さない稽古の積み重ねこそが、何年経っても古びない笑いの強度を生み出していたのです。