松戸市立栗ケ沢小学校、そして栗ケ沢中学校。天心が幼少期を過ごしたエリアは、どこにでもある静かな郊外の住宅街だ。だが、この街の日常風景の中に、後のスーパースターの原風景が埋め込まれている。
5歳で極真空手を始めた天心少年は、決して最初から特別なエリートだったわけではない。最初の試合で負けた悔しさをきっかけに、父・弘幸氏による徹底的な英才教育がスタートした。近所の公園でのダッシュ、坂川沿いのロードワーク、自宅の一角でのミット打ち。まだあどけない少年が流した膨大な汗と涙を、松戸の静かな町並みはずっと見守り続けていた。
小学生にして全日本ジュニア大会を制覇し、キックボクシング転向後も全国の大人顔負けのテクニックを披露。当時から近隣の格闘技関係者の間では「松戸にとんでもない怪童がいる」と囁かれていたが、世界的なメガスターにまで駆け上がると予見できた者は少なかったはずだ。