久保田利伸と木村拓哉の組み合わせと聞けば、誰もが1996年のメガヒット『LA・LA・LA LOVE SONG』を想起するはずです。しかし、音楽ジャーナリズムの視点で両者を精緻に解剖すると、アプローチと楽曲構造には明確な差異が存在します。
『LA・LA・LA LOVE SONG』が20代の青く弾けるようなストレートな多幸感、無条件のポジティビティを全面に押し出したファンク・ポップであったのに対し、『LOVE RAIN 〜恋の雨〜』は30代から40代の「酸いも甘いも噛み分けた大人の情熱」を描いています。
音楽理論的なアプローチにおいても、その違いは歴然としています。『LOVE RAIN 〜恋の雨〜』のコード進行は、メジャーセブンス(M7)やテンションコード(9th)を巧みに配置し、メロウな浮遊感と切なさを演出。イントロからAメロにかけては都会的な洗練を保ちつつ、サビに向けてエモーショナルに解放されるドラマティックな展開が緻密に構築されています。ブラックミュージック直系の16ビートのシンコペーションをJ-POPの親しみやすいメロディに落とし込む手腕は、久保田利伸ならではの職人技です。