駅伝ファンの間で長年語り継がれている都市伝説に、「出雲駅伝で優勝した大学は、その年度の箱根駅伝で優勝できない」というジンクスがあります。ネット掲示板やSNS上でも大会ごとに話題に上りますが、この言説には明確な構造的背景が存在します。
出雲駅伝(45.1km・スピード重視)と箱根駅伝(217.1km・スタミナと山上り・山下り重視)では、求められる生理的負荷とチーム戦略が根本的に異なります。出雲でピークを迎えるよう調整したチームは、夏合宿明けの9月〜10月にスピード練習の比率を高めているため、12月から1月にかけて長距離耐性の再構築が必要になります。
過去に三冠(出雲・全日本・箱根の全制覇)を達成した大東文化大学、順天堂大学、早稲田大学、青山学院大学、駒澤大学などの事例を分析すると、成功したチームは出雲を「スピード強化の通過点」と位置づけ、主力の疲労蓄積をコントロールしながら全日本・箱根へと右肩上がりに調子を上げていました。
したがって、「ジンクスがあるから勝てない」のではなく、「短期集中型のスピード育成と20km超を走破するスタミナ育成のピリオダイゼーション(期分け)に失敗したチームが箱根で失速する」というのがスポーツ科学から見た真相です。