「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、トマトの栄養価は古くから知られています。その中核を担うのが、強力な抗酸化作用を持つ赤色色素リコピンです。リコピンは細胞の老化を防ぎ、血流改善や紫外線ダメージの軽減に寄与するファイトケミカルですが、分子構造が頑丈で水に溶けにくい「脂溶性」であるため、生のトマトを単体で食べても小腸で十分に吸収されず、大半が体外へ排出されてしまうという弱点を抱えています。
この生理学的な課題を劇的に解決するのが、まさにアボカドです。アボカドは「森のバター」と称される通り、全体の約15〜20%が良質な脂質で構成されています。その大部分は悪玉コレステロールを減らすオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸です。オハイオ州立大学をはじめとする複数の国際的臨床研究機関の報告によると、トマトの摂取時にアボカド由来の脂質を同時に組み合わせることで、リコピン吸収率が非摂取時と比較して4倍から最大15倍近くまで飛躍的に向上することが確認されています。小腸内でアボカドの脂肪球が微小なミセルを形成し、その中心部にリコピンを取り込むことで、消化管粘膜をスムーズに通過できるようになるためです。
さらに見逃せないのが、両者が生み出す「抗酸化ネットワーク」の相乗作用です。アボカドに豊富に含まれるビタミンEは、細胞膜の脂質酸化を最前線で食い止めます。その際、酸化ストレスと戦って力を使い果たしたビタミンEを、トマトにたっぷり含まれるビタミンCが還元して再び活性化させるという相互補完サイクルが体内組織で働きます。このトマトとアボカドの食べ合わせ効果は、サプリメントの単剤摂取では決して得られない、自然食材ならではの完璧な生化学的調和と言えます。