食文化の受容という社会学的観点から見ると、ミゲルフアニ新宿店が巻き起こす賛否は、「日本向けにローカライズされた親しみやすい洋食」と「現地の歴史と風土をそのまま持ち込んだ本物の郷土料理」の摩擦にほかなりません。
日本市場の多くのレストランは、大衆の嗜好に合わせて米を柔らかく炊き、塩分を控え、万人受けするマイルドな味付けへと改良(改変)を施します。しかし、ミゲルフアニはその安易な迎合を拒み、スエカのコンクールで頂点を極めたバレンシアの誇りをそのまま皿の上に載せています。だからこそ、訪れる側の求めるスタンスによって評価が真っ二つに分かれるのです。
◎ ミゲルフアニ新宿店を心からおすすめできる人
・スペイン現地で食べた本格パエリアの味や、本場の雰囲気が忘れられない人
・ワインを片手に、タパスをつまみながら料理の仕上がりをゆったり待てる人
・肉と野菜の出汁が凝縮した、硬めでクリスピーな「ソカラ(おこげ)」を愛せる人
・ショートパスタを使った本格フィデウアの食感とアイオリソースのコクを体験したい人
・新宿タカシマヤの上質な空間で、記念日や女子会など会話を楽しむディナーを楽しみたい人
▲ 訪問に慎重になるべき人・おすすめできない人
・日本の白米のように、ふっくら柔らかく炊き上がったご飯料理を期待している人
・「パエリア=山盛りのエビやアサリ」という海鮮のビジュアルだけを絶対条件にしている人
・次の予定が迫っており、注文から提供まで30分以上待つ時間的余裕がない人
・パエリア鍋にこびりついたおこげをスプーンで削ぎ落としながら食べる作業を煩わしいと感じる人
・薄味・低塩分の優しい和風テイストを外食に求めている人