ルーリッド村の素朴で好奇心旺盛な少女、アリス・ツーベルクが公理教会の騎士に連行されたあの日から、すべては始まりました。彼女が「整合騎士アリス」として公理教会の中枢に君臨していた背景には、最高司祭アドミニストレータ(クィネラ)による冷酷非道な精神統制が存在します。
作中で明かされた「シンセサイズの秘儀」の正体とは、神聖術によって対象者の霊魂(フラクトライト)から最も大切にしている者の記憶を強引に摘出し、その精神的欠落部に最高司祭への盲従を刷り込んだ記憶制御素子「敬神(パイエティ)モジュール」を埋め込む精神改変手術です。アドミニストレータは、この処置によって騎士たちの自我を完全に掌握し、地上の守護神として再利用していました。
さらに恐るべきは、摘出された記憶の行く末です。公理教会最高司祭の私室に厳重保管されていた騎士たちの最も愛する人々の記憶は、後にアンダーワールドを震撼させる非人道生体兵器「ソードゴーレム」を稼働・制御するための触媒として悪用されていました。アリスが奪われた記憶の中核にあったのは、幼少期を共に過ごしたユージオやキリト、そして妹のセルカへの情愛そのものでした。神託と信じ込まされていた自らの存在理由が、大切な人々を踏みにじる背任の産物であったという事実は、アリスの魂に計り知れない衝撃をもたらすことになります。