声優交代と並ぶもう一つの大きな構造改革が、長年親しまれた「金曜夜7時」から「土曜夕方5時」への放送時間変更です。2019年10月5日、テレビ朝日は『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』の放送枠を一斉に土曜夕方へと移動させました。昭和から平成にかけて「家族団らんのゴールデンタイム」の象徴だった金曜19時枠からの撤退は、視聴者に少なからぬ動揺を与えました。
この時間変更の背景には、テレビメディアと日本の家庭環境における深刻な構造変化が存在します。共働き世帯の増加や子どもの塾・習い事の過密化により、金曜19時に家族そろってリアルタイムでテレビの前に座る家庭が激減しました。さらにTVerや配信プラットフォーム、録画機器によるタイムシフト視聴が定着したことで、「金曜ゴールデンタイムでのリアルタイム視聴率」を維持することが極めて困難になったのです。
テレビ朝日の編成戦略としては、在宅率が比較的高く、家族で落ち着いて視聴できる「土曜夕方のキッズ・アニメタイム」を創出することに舵を切りました。この判断は結果として功を奏し、録画予約率や配信サービスでの再生数は安定。さらに、1980年の『のび太の恐竜』から連綿と続く歴代映画シリーズは、春休みの興行収入で40億〜50億円規模を叩き出す超優良コンテンツとして君臨し続けています。テレビアニメは地上波の視聴率競争のためだけでなく、春の大型映画への動員エンジンおよびIP(知的財産)のブランド価値を維持するための重要拠点として機能しています。