てんちむの生い立ちは、非常に国際的かつ複雑な背景を持っています。1993年11月19日、中国・北京市で日本人の父親と中国人の母親のもとに誕生しました。名前の「甜歌」は、中国語で「甘い」「心地よい」を意味する「甜(ティエン)」と、美しい歌声を願う「歌」を組み合わせたもので、母親が愛情を込めて名付けた本名です。
生後ほどなくして家族とともに日本へ渡り、幼少期から学生時代の大半を栃木県足利市の実家で過ごしました。家族構成は父、母、本人、そして弟の4人家族。幼少期の家庭環境において決定的な影響を与えたのが、母・文華(ウェンファ)さんの存在でした。
中国出身の母親は、異国の地で子どもを立派に育て上げようとするあまり、極めて教育熱心で厳格な一面を持っていました。礼儀作法から日々のスケジュール、芸能活動のオーディションに至るまで徹底的な管理下に置かれ、テストの点数や稽古の出来が悪ければ容赦のない叱責が飛ぶ日々。てんちむ自身、当時の家庭環境を「息が詰まるような緊張感があった」と公言しています。
そんな家庭の中で唯一の精神的支柱だったのが、穏やかで優しい父親でした。しかし、その父親は彼女が中学時代に重い病気により他界。絶対的な味方を失った喪失感は計り知れず、心のバランスを大きく崩す決定的な引き金となりました。拠り所を失った彼女は、母親への激しい反発とともに、非行や不登校へと足を踏み入れていくことになります。