「責任」という言葉を辞書で引くと、「自分が引き受けて行わなければならない任務」や「自分が関わった事柄によって生じた結果に対して負うべき責め・償い」と説明されています。漢字を分解すると、「責(せめる・求める)」と「任(まかせる・引き受ける)」から成り立ち、他者や社会から委ねられた事柄に対して、しっかりと応えるという構造を持っています。
この本質は、英語のResponsibilityの語源を紐解くとさらに明確になります。この語はラテン語の「respondere(応答する、返答する)」に由来しており、直訳すれば「応答する能力(Response + Ability)」です。つまり、生じた事態に対して背を向けず、正面から「私はこう判断し、こう対処する」と答えを返すプロセスそのものが責任の原点にあります。
ここで多くの人が混乱するのが「責任と義務の違い」です。両者は日常会話で同義語のように扱われますが、概念の次元が根本から異なります。
「義務」とは、法律・規則・道徳などによって「必ず行わなければならないと課された行動そのもの」です(英語ではDutyやObligation)。例えば、日本国憲法に定められた「納税の義務」「勤労の義務」のように、選択の余地なく外側から課されるルールを指します。一方の「責任」は、その義務を果たしたか否か、あるいは自らの自由意思で選択した行動によって「どのような結果が生じたかを引き受け、対処すること」です。
言い換えれば、義務は「スタートラインで課される行動規範」であり、責任は「行動の先にある結果に対する引き受け」です。「指示された作業をこなす」のは義務の遂行に過ぎず、その作業が組織や顧客にどのようなインパクトをもたらしたかまで見届ける姿勢こそが、ビジネスにおける「責任を果たす意味」となります。また、よく使われる「責任感の意味」とは、他者からの強制ではなく、自らの担当領域を最後までやり遂げようとする内発的な当事者意識(オーナーシップ)を指します。