なぜ、危険性を冒してまでネット上の怪しげな母乳購入に手を出してしまう母親が存在するのでしょうか。そこには、日本社会に根深く残る「母乳神話」と産後うつ・孤立育児がもたらす深刻な心理的追い詰められが存在します。
産科や周囲の親族から「母乳で育ててこそ一人前の母親」「母乳でなければ愛情が伝わらない・免疫がつかない」といった過度な価値観を押し付けられることで、母乳の分泌が十分でない女性は強烈な罪悪感と自己否定感に苛まれます。自著や手記で当時の心境を語った母親たちの証言でも、「母乳が出ない自分は母親失格だと思い込み、ネットで母乳が買えるという文字を見た瞬間に理性を失って注文してしまった」という痛切な告白が記録されています。
【プロの結論】健全な「心理的バウンダリー」の構築と正しい認識
家族社会学や母子保健の観点から見ても、母親を追い詰める母乳信仰は有害です。ここで認識を改めるべき決定的な事実は、「母乳の出やすさは体質やホルモンバランスによる生理現象であり、愛情の多寡とは何の関係もない」ということです。
母親自身の心身の健康と、安全な栄養摂取こそが乳児にとっての最優先事項です。他人の不衛生な母乳を買い与えて感染症に罹患させるリスクを冒すことほど本末転倒な行為はありません。周囲の無責任な言説から心を守る「心理的バウンダリー(境界線)」を引き、安全性が担保された代替乳を堂々と選択する姿勢が求められます。