これほどの高コスパでありながら、ネット上で「業務スーパーのおでんはまずい」という声が一部で上がるのはなぜでしょうか。食品工学および消費者の味覚嗜好の観点から分析すると、明確な3つの構造的要因が浮かび上がってきます。
1. 出汁が「あっさり上品な関西風」設計であること
業務スーパーの『大入りおでん』の出汁の味は、かつお節と昆布をベースにした非常にやさしい薄口仕立てです。関東風の濃口醤油やみりん、砂糖を効かせた甘辛く濃い味付けに慣れ親しんでいる人にとっては、「出汁が薄い」「味がぼやけている」と感じられやすい傾向があります。
2. ちくわやさつま揚げなどの「練り物」が入っていない
原材料コストを抑えつつ長期間のレトルト殺菌に耐えうる具材を選定しているため、ラインナップは大根、たまご、玉こんにゃく、白たき、がんもどき、しいたけの6種に絞られています。魚肉練り物から染み出る独特の動物性・魚介のコクがないため、パックを開けてそのまま温めただけでは、おでん特有の濃厚な旨味の重なりがやや弱く感じられるのです。
3. 大根や玉こんにゃくの食感と味染みのギャップ
大量生産のレトルト調理において、大根が煮崩れしないようやや硬めの食感を残している個体があります。「中まで出汁がジュワッと染み込んだトロトロの大根」を期待して開封直後の短時間加熱で口に運ぶと、「味が染みていない」というネガティブな印象に繋がってしまいます。
つまり、「まずい」という噂の真相は素材の品質が劣悪なのではなく、「万人受けするベース出汁として設計されているため、単体加熱ではパンチが足りない」というギャップにあります。この特性を理解していれば、わずかな手間で劇的においしい本格おでんへと変化させることが可能です。