このキラーフレーズが誕生したのは、2000年代初頭のことです。放映権を獲得したテレビ朝日が、FIFAワールドカップのアジア最終予選中継において、国民的関心を極限まで高めるための戦略的キャッチコピーとして打ち出しました。
当時の制作関係者の証言によると、目指したのは「サッカーファン層だけでなく、ルールを詳しく知らないお茶の間のライト層まで一瞬で当事者にする言葉」でした。単なるスポーツの試合ではなく、国家の威信と選手個人のキャリアが文字通り崖っぷちで衝突する極限状態を、わずか数文字で表現する必要があったのです。
このコピーに魂を吹き込んだ立役者が、ナビゲーターを務める川平慈英氏でした。オープニングでサラ・ブライトマンの名曲『A Question of Honour』の重厚なドラムロールが鳴り響く中、カメラを射抜くような眼光で「いいんです!」「絶対に負けられない戦いが、そこにはある!」と絶叫する姿は、視聴者のアドレナリンを否応なしに沸騰させました。
さらに中継席では、解説の松木安太郎氏が「ふざけんなよ!」「あぶねーあぶねー!」「審判ちゃんと見ろよ!」と居酒屋の隣席で観戦しているかのような熱量をぶちまけ、実況アナウンサーの冷静な進行と奇跡的なコントラストを生み出します。テレビ朝日はこのフレーズを軸に、スポーツ中継を「国民参加型のエモーショナルな大河ドラマ」へと変貌させることに成功したのです。