24時間テレビ着服事件の真相|10年間のギャンブル流用と現在の信頼

24時間テレビ着服事件の真相|10年間のギャンブル流用と現在の信頼

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この着服劇は、個人の倫理崩壊という一面だけでなく、「ギャンブル依存の病理」と「閉鎖的組織の病理」が最悪の形で交差した構造的悲劇といえます。

心理学や精神医学の知見において、ギャンブル依存症は「意志の弱さ」ではなく、脳内の報酬系機能の機能不全による病気と定義されています。特に、自己資金を使い果たした依存者が「一時的に借りて、勝って返せばいい」という歪んだ認知(否認の心理)に陥ったとき、目の前にある「管理の甘い現金」は格好の標的となります。元局長にとって、募金箱の現金は「他人の善意」ではなく、「勝負のためのチップ」に見えてしまっていたのです。

そして、その病理を10年間も野放しにしたのは、日本の地方組織にありがちな「性善説による内部統制の放棄」でした。「長年勤めてくれた幹部だから」「経理のプロだから」という無批判な信頼は、健全な信頼関係ではなく、単なるガバナンスの怠慢であり共依存です。組織の中に健全な「心理的バウンダリー(境界線)」と客観的な監査システムが存在していれば、10年もの長期にわたって被害が拡大することは防げたはずです。

善意を扱う事業だからこそ、性善説で運営してはならない――これが、この事件が遺した最も重く、教育的な教訓です。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。