国立感染症研究所や各地の衛生研究所が報告するサーベイランスによると、2026年のRSウイルス感染症は従来の「冬型」から完全に脱却し、春先から初夏にかけて感染者数が増加する通年型の様相を一段と強めています。保育施設における集団生活の低年齢化も拍車をかけ、生後数週間の新生児から2歳児前後の幼児まで、年間を通じて感染警戒を解けない状況が定着しました。
潜伏期間は通常4〜6日(最短2日、最長8日)とされ、発症初期は軽い鼻水、くしゃみ、微熱といった一般的な感冒症状から静かに始まります。厄介なのは、感染力を持つ「うつる期間」の長さです。症状が出る直前からウイルス排出が始まり、発熱や咳が治まった後も1〜3週間にわたって気道からウイルスを排出し続けることが確認されています。本人が回復したように見えても、兄弟間や保育現場でウイルスが静かにリレーされ続ける背景には、この長期的なウイルス排出があります。
大人や年長児が感染した場合は軽度の鼻風邪で済むケースが大半ですが、気道が未発達な乳幼児にとっては全く異なる脅威となります。ウイルスが上気道から下気道(気管支・細気管支)へと侵入すると、粘膜上皮細胞を破壊し、大量の粘液(痰)と壊死組織を産生します。これが気道を塞ぐことで、急速な換気障害を引き起こす構造的なリスクを孕んでいるのです。