インターネット上の掲示板やSNSでは、「かんころ餅は生でそのまま食べられるのか?」という疑問が定期的に議論されています。結論から申し上げますと、製造段階ですでに蒸して火が通っているため、衛生・食品衛生法上はそのまま食べても全く問題ありません。
五島列島の現地で搗き立て当日のかんころ餅を入手できた場合は、すあまやつきたてのお餅のように柔らかく、加熱せずとも絶品の味わいを楽しめます。しかし、店頭に並んだり配送を経て手元に届く頃には、餅米特有の「デンプンの老化(ベータ化)」が進み、ボソボソとした硬い状態に変化しています。この硬化した状態で無理にそのまま食べると、旨味を感じにくいだけでなく、胃腸での消化吸収が悪くなり胃もたれの原因となります。したがって、「基本的には必ず加熱してアルファ化(糊化)させてから食べるもの」と認識しておくのが正解です。
もう一つの大きな盲点は、「白餅と同じ感覚で焼くと高確率で炭化する」という科学的な理由です。白米のみで作られる切り餅の主成分はデンプンですが、かんころ餅の原料の約半分以上を占める干し芋には、果糖やブドウ糖、麦芽糖といった糖類が大量に含まれています。糖類は160度前後を超えると急速に「カラメル化」および「メイラード反応」を起こし、一瞬で茶褐色から黒色へと焦げ進みます。網焼きにする際やすき焼き用グリルの強火は厳禁であり、焦げない焼き方のコツは徹底した「弱火管理」と「遮熱シート・ホイルの活用」に尽きます。
気になるカロリーと糖質についても正確な把握が必要です。かんころ餅の栄養成分は、100gあたり約230〜250kcal、糖質は約50〜55g前後で推移します。一般的な切り餅(100gあたり約223kcal、糖質約49.5g)と比較しても、サツマイモの凝縮された糖分が含まれているためカロリー・糖質ともにやや高めです。食物繊維やカリウムなどの微量栄養素は豊富ですが、ヘルシーなおやつだからと油断して食べ過ぎると過剰摂取につながる点には留意してください。