ラムゼイ・ハント症候群の治療では、発症早期に高用量ステロイド薬(プレドニゾロンなど)と抗ウイルス薬を集中的に投与するステロイド漸減療法が標準的に行われます。この治療期間中におけるコーヒーの摂取には、明確な薬理学的注意点が存在します。
ステロイド薬は強力な抗炎症作用を持つ一方で、胃酸の分泌を促進し、胃粘膜を保護するプロスタグランジンの生成を抑えるため、胃潰瘍や胃炎を引き起こしやすい副作用があります。そこに胃酸分泌を促すコーヒーが加わると、胃粘膜への負担が相乗的に跳ね上がり、激しい胃痛や消化管出血を招く危険性が高まります。
さらに、ステロイド自体に精神的な興奮や不眠を引き起こす作用があるため、カフェインの覚醒作用と重なることで睡眠障害が重症化しやすくなります。処方薬を服用している期間中は、薬の効能を邪魔せず副作用リスクを避けるためにも、コーヒーの摂取を避けるのが安全策です。