なぜ豊川でこれほどまでに朝食文化が成熟したのか。その背景には、古くから日本三大稲荷の一つとして参拝客を迎えてきた豊川稲荷の門前町としての歴史がある。早詣の参拝客や商人たちに温かい飲み物と食事が提供されてきた風土が、現代の飲食業におけるおもてなし精神へと脈々と受け継がれているのだ。
豊川市の竹本幸夫市長も地域振興の重要な施策として地元の食文化発信に期待を寄せる。単に腹を満たすための朝食ではなく、地域の魅力を凝縮した観光資源としての価値が急速に高まっている。市内を歩くと、古き良き昭和の面影を残す純喫茶と、モダンなインテリアを備えた新世代のカフェが隣り合わせで暖簾を掲げている光景に出会う。この新旧の共存こそが、街の朝を魅力的なものにしている源泉だ。