個人投資家にとって最も身近な簿価の概念が、株式投資における取得価額と簿価単価です。同じ銘柄を異なるタイミングと株価で複数回にわたって買い付けた場合、保有株全体の平均取得単価(簿価単価)を正確に算出できなければ、実際の損益分岐点を把握できません。
税務上、簿価単価の計算方法には「総平均法」に準じた「移動平均法」が採用されています。計算の手順は以下の通りです。
例として、ある銘柄を株価1,000円で500株購入した後、株価が下落した局面で1株800円で500株を追加購入(ナンピン買い)した場合を想定してみます。
・1回目の購入総額:1,000円 × 500株 = 500,000円
・2回目の購入総額:800円 × 500株 = 400,000円
・合計買付金額:900,000円
・合計保有株数:1,000株
・算定される簿価単価:900,000円 ÷ 1,000株 = 900円
証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば、この計算や売却益にかかる税金の源泉徴収は自動処理されます。しかし、複数口座間で同一銘柄を保有している場合や、一般口座・確定申告を伴う特別な取引を行う際には、投資家自身が正確な帳簿価額を把握しておかなければ税務調査で申告漏れを指摘されるリスクが生じます。