スタンドの魅力を決定づける最大の要素が「命名」です。原作におけるスタンド名の変遷を整理すると、荒木氏の時代ごとのアプローチが浮き彫りになります。
第3部初期は「タロットカード大アルカナ(スタープラチナ、ザ・ワールド)」および「エジプト九栄神(ゲブ神、オシリス神)」という古代神秘主義に基づいた命名が採用されました。しかし第4部以降は、荒木氏の膨大な音楽的造詣を背景とした「洋楽のバンド名・アルバム名・楽曲名」へと完全移行します。クレイジー・ダイヤモンド(Pink Floyd)、キラークイーン(Queen)、ゴールド・エクスペリエンス(Prince)、ストーン・フリー(Jimi Hendrix)など、時代を彩る名盤がそのまま能力のビジュアルや空気感と共鳴しています。
オリジナルスタンドの命名において完成度を高めるには、単に好きなロックバンドの名前を当てるだけでは足りません。楽曲の歌詞に含まれる世界観、あるいはアーティストの生涯やパブリックイメージと、考案したスタンド能力の性質をシンクロさせる必要があります。例えば、重力を操る能力に「Massive Attack」、視覚を幻惑するスタンドに「Radiohead」のアルバム名を選ぶといった、サブカルチャーへの深いリスペクトを感じさせるチョイスが、作品にオーラを宿らせる決定打となります。