米良美一氏の人生を語る上で避けて通れないのが、生まれつき抱えていた「先天性骨形成不全症」という難病である。骨が非常に脆く、わずかな衝撃でも骨折を引き起こしてしまうこの疾患により、幼少期から幾度となく激痛と入院生活を余儀なくされてきた。体育の授業や激しい運動からは遠ざけられ、常に身体的な制約とともに過ごす日々であった。
しかし、その過酷なハンディキャップこそが、彼の内に秘められた圧倒的な音楽的才能を開花させる契機となった。病床や静かな自室で歌うことに没頭した少年時代、彼は自らの声の中に、人間離れした美しさを持つカウンターテナーとしての資質を見出していく。障害という重圧に屈することなく研鑽を重ねた結果、彼は世界のクラシック界を震撼させる唯一無二のヴォーカリストへと成長を遂げたのである。