名古屋の心霊スポットランキングで常に上位に挙げられるのが、守山区に位置する「東谷山(とうごくさん)」と、昭和区から天白区に広がる「八事霊園」です。ネット上では「写真に不可解なものが写り込む」「白い影を目撃した」といった名古屋の心霊スポット体験談が後を絶ちません。しかし、現地取材と歴史的文献を照らし合わせると、まったく異なる側面が浮かび上がってきます。
東谷山は名古屋市最高峰であり、山頂には尾張戸神社が鎮座し、山中には4世紀から7世紀にかけて築造された東谷山古墳群が点在しています。古くから神聖な信仰の山として守られてきた土地であり、昼間は多くのハイカーで賑わう名所です。それにもかかわらず不気味な噂が絶えない背景には、夜間になると街の明かりが完全に遮断され、木々のざわめきや獣の鳴き声が反響しやすい独特のすり鉢状地形があります。暗闇が生み出す心理的圧迫感が、来訪者の恐怖体験を増幅させている構造が明白です。
一方、大正時代から続く八事霊園は、約5万基もの墓石が整然と並ぶ日本有数の大規模墓地です。かつて敷地内に火葬場が併設されていた経緯(現在は港区の名古屋市立第2斎場等への機能移転が進む)から、「霊が集まる場所」という固定観念が独り歩きしました。しかし、霊園関係者や近隣住民への取材では、怪奇現象の報告よりも「夜間の若者による騒音問題」や「マナーの悪い侵入者によるゴミのポイ捨て」に対する困惑の声が圧倒的多数を占めています。