吉四六を購入する際、誰もが直面する最大の疑問が「壺(つぼ)」と「瓶(びん)」の選択です。店頭価格やネット相場では壺の方が数百円から千円近く高く設定されているため、「壺の方がより高濃度の原酒を使っているのではないか」「熟成年数が異なるのではないか」という憶測がネット上でも飛び交っています。
二階堂酒造の公式情報および製造工程の取材データが示す結論は、「中身の焼酎そのものは全く同一」です。いずれも大分むぎ焼酎「二階堂」の原酒をじっくりと長期貯蔵・熟成させたものであり、アルコール度数も共通して25度に設定されています。
中身が同じであるにもかかわらず、なぜ二つの形態が存在し、長年飲み手の間では「壺の方がまろやかだ」と評されるのか。そこには容器の物理的特性と酒類学的な根拠が存在します。
美濃焼で作られた特製の白磁壺は、瓶と違って光を完全に遮断します。さらにコルク栓で封じられた陶器の器肌にはミクロ単位の微細な気孔が存在し、極めて微量な空気の通気を許容します。この環境が、詰口後も緩やかな「瓶内ならぬ壺内熟成」を促し、角のとれた丸みのある口当たりを生み出す要因となっています。また、手書きでひとつひとつ銘柄名が焼き付けられた陶器の質感と重量感が、視覚や触覚を通じて飲む者の味覚認識を心理的に底上げしている点も見逃せません。