時計の針を2012年に戻してみよう。当時、スーパー戦隊シリーズ『忍風戦隊ハリケンジャー』や映画『パッチギ!』で脚光を浴びた若手実力派俳優の塩谷瞬と、料理研究家としてメディアに引っ張りだこだった園山真希を巡る報道は、連日連夜メディアの格好のネタとなった。カメラの前で号泣する塩谷の姿や過熱する報道陣の追及は、平成芸能界における一つの象徴的なシーンとして人々の記憶に刻まれている。
当時はソーシャルメディアの黎明期から拡大期への過渡期であり、テレビと紙媒体がタッグを組んで一つの過ちを徹底的に叩き潰す風潮が極めて強かった。私生活のトラブルが即座に「人間性の全否定」へと拡大され、当事者たちの仕事や日常生活に甚大な影響を及ぼした。しかし、狂乱が去った後に残されたのは、メディアによって切り取られた無機質な記号ではなく、泥をかぶりながらも生きていかなければならない生身の人間のリアリティだった。