城山三郎の小説で強烈な存在感を放ったミスター通産・風越信吾。彼のモデルとなった佐橋滋は、現場に足を運び、企業のトップと直談判し、国益のために泥をすする泥臭い官僚だった。翻って、2026年の今、同じような情熱を持つ若手・中堅官僚は存在するのだろうか。
答えは「イエス」であり、同時に「ノー」でもある。最先端テクノロジーの現場に突撃し、海外の巨大IT企業やスタートアップと渡り合う「令和の現場主義官僚」は確実に存在する。だが、彼らが直面する現実は、昭和の官僚たちが対峙したそれよりも遥かに複雑で、残酷だ。官民の境目が曖昧になり、スピード感が分単位で求められる時代に、昭和式の行政指導や泥臭いネゴシエーションがどこまで通用するのか。彼らは日々、自らの役割の限界に苛まれている。