音ウス村で起きた無差別毒殺事件。その全貌は、タイムスリップによって書き換えられた複数の「世界線」によって複雑に絡み合っている。
1度目のタイムスリップで心が過去を変えた結果、現代に戻った彼の目の前に広がっていたのは、さらに悲劇的な未来だった。母親は心中し、姉は姿を消し、父親の冤罪は晴れないまま。歴史を変えようとする心の行動が、皮肉にも犯人の計画を補完してしまうという絶望感。この張りつめた緊張感こそが、本作を途中でやめられない理由だった。
最終的に過去の事件現場で心を待っていたのは、己の正義と家族を守るための究極の選択だった。タイムラインが再構成された最後の現代で、心は生まれていなかったはずの新たな人生を手にする。しかし、かつての記憶を宿す父親・文吾が見せた一瞬の表情に、観客は胸を締め付けられるのだ。