1990年代半ば、集英社が発行する「週刊少年ジャンプ」は怒涛の黄金期を迎えていた。その渦中でスタートした『るろうに剣心』は、当時の少年漫画としては異色ともいえる「明治時代」という過渡期を舞台に設定した。バトル要素に歴史ドラマを組み合わせた独創的な世界観は、少年漫画の領域を大きく押し広げることになる。
和月氏の魅力は、単なるアクションの爽快感にとどまらない。登場人物それぞれが抱える正義と過去の傷、そして救済への問いを深く掘り下げる視線にある。重厚な人間ドラマを描きながらも、スピード感にあふれるアングルと洗練されたキャラクターデザインを共存させた技量は、当時の連載陣のなかでも群を抜いていた。