東京都観光公式サイトgo Tokyoの掲載データによると、日本近代文学館には170を超える文庫・コレクションが収蔵されており、その総点数は130万点以上に達する。この数字だけを聞いても実感しにくいかもしれないが、内訳を見ると圧倒される。
主な収蔵物のカテゴリーは以下の通りだ。図書(明治以降に発行された初版本・重版本を含む文学関連書籍)、雑誌(文芸誌・同人誌の創刊号や廃刊号を含む)、自筆原稿(未発表作品や初稿を含む肉筆資料)、書状・書簡(作家間や編集者との往復書簡)、日記・手帳類、そして映像・音声資料(作家のインタビュー映像や朗読音源)まで多岐にわたる。
閲覧室では、15歳以上であれば誰でも利用でき(1人1日300円)、国内外の研究者だけでなく、学生や一般の文学愛好家も実際に手に取って資料を確認できる。インターネットミュージアムの紹介文にも「国内外の研究者や学生が利用に訪れます」と明記されており、アカデミックな場でありながら開かれた施設であることが特徴だ。
主要所蔵作家と代表的コレクション
日本近代文学館が誇る所蔵作家の範囲は、明治初期から昭和末期にわたる。以下は特に充実しているとされる作家・コレクション群の一例だ。
- 夏目漱石:書簡・草稿類の一部を含む関連資料。漱石の文彩の形成過程を追う上で不可欠の一次資料群。
- 太宰治:複数の自筆原稿および書簡。「人間失格」執筆期前後の精神的軌跡を示す資料として研究者に高い評価を受けている。
- 芥川龍之介:自筆原稿・書簡の一部。
- 川端康成:発起人のひとりとして名を刻んだ川端自身の資料も寄贈されている。
- 三島由紀夫:発起人のひとりとして初期から深く関わり、自筆原稿の一部が収蔵されている。
- 萩原朔太郎・中原中也:近代詩の系譜を辿る詩稿・書簡類。
これらは「〇〇文庫」という形でコレクション単位で整理・管理されており、特定の作家の資料を体系的に研究したい場合には、事前に閲覧申請を行うことで効率よくアクセスできる体制が整っている。