本作の核となるのは、一筋縄ではいかない人間模様だ。甘いだけの恋愛ドラマとは一線を画し、人生の選択や葛藤を丁寧に描き出す濃密なヒューマンドラマに仕上がっている。酸いも甘いも噛み分けた大人の男と女が直面する試練、そして言葉にならない感情の揺れ動きが、圧倒的なリアリズムで紡ぎ出される。
かつて『コンフィデンスマンJP』シリーズで見せた華やかなコメディエンヌとしての輝きや、数多の映画賞を総なめにしてきたキャリアを経て、長澤まさみの表現力は極限まで磨き上げられた。そこに二宮和也が得意とする繊細かつナチュラルな演技が重なり合うことで、観る者の胸を強く打つドラマティックなシナリオが完成した。