保健室の先生を目指すにあたり、避けて通れないのが待遇面の実態です。公立学校に勤務する養護教諭は地方公務員(教育公務員)となり、一般の教諭と同様に「教育職俸給表」が適用されます。そのため、身分の安定性や福利厚生の手厚さは一般的な民間企業の水準を大きく上回ります。
文部科学省の「学校教員統計調査」および各自治体の人事委員会勧告資料から試算した、公立学校における養護教諭の平均年収モデルは以下の通りです。20代前半の新任期で年収約350万〜400万円、30代中堅期で約500万〜580万円、経験を重ねた40代後半から50代では約650万〜750万円以上に達し、地域手当や期末・勤勉手当(ボーナス)も確実に支給されます。
注目すべきは、同じ保健室の現場にいながら雇用形態によって生じる格差です。正規採用を勝ち取れなかった場合、多くの志望者は「臨時的任用職員(講師)」として現場に入ります。産休・育休に入る正規教員の代替ポストなどが主ですが、任期は1年単位であり、翌年度の配置があるかどうかは直前の3月まで確定しません。業務内容は正規職員と何一つ変わらないにもかかわらず、毎年の契約打ち切りへの不安を抱えながら採用試験を受け続ける「講師ループ」に陥る志願者が後を絶たないのが実情です。