鉄道の青函トンネルに対し、道路トンネルの常識を覆したのが首都高速中央環状線の山手トンネルです。東京都豊島区高松から品川区大井に至る全長18.2kmは、ノルウェーのラルダールトンネル(24.51km)に次ぐ世界第2位の長大道路トンネルです。
山手トンネルの特異性は、過密化した首都直下という立地条件にあります。地下数十メートルの大深度を通過し、地下鉄路線、上下水道管、共同溝などの既存インフラ網をミリ単位の精度で縫うように掘削されました。特に目黒区の大橋ジャンクションでは、地上と地下の高低差約70mをつなぐために巨大ならせん構造のループトンネルが構築され、土木技術の極致として海外の技術者からも高い評価を得ています。
一方で、密閉された長大な地下空間を走行するドライバーには独特の緊張感が求められます。トンネル内部は最新の排煙設備、数百メートル間隔の非常口、赤外線感知器、ミスト冷却装置が張り巡らされていますが、地下特有の単調な視界と壁面の圧迫感はドライバーの集中力を削ぎやすい環境です。