「セックス・オン・ザ・ビーチ(Sex on the Beach)」という過激な名称を聞くと、多くの人が海岸でのアバンチュールや性的なスラングを連想します。英語のスラングとして直訳通りの意味を持つフレーズですが、カクテルとしてのセックスオンザビーチの由来は、計算されたマーケティング戦略に端を発しています。
歴史の始まりは1987年春、アメリカ・フロリダ州フォートローダーデールにある「コンフェッティズ(Confetti's)」というバーでした。当時、新発売されたピーチシュナップス(桃のリキュール)を大量に販売するプロモーションコンテストが開催されており、バーテンダーのテッド・ピツィオ(Ted Pizio)氏が独自のレシピを考案しました。
春休み(スプリングブレイク)に全米から集まった大学生たちがフロリダに来る目的を問われたピツィオ氏は、「セックス」と「ビーチ」こそが彼らの求めるすべてだと直感し、その2つの単語をそのまま結びつけて名付けました。この直球かつキャッチーなネーミングは若者たちの心を掴み、注文が殺到することになります。
さらにブームを決定づけたのが、1988年に公開されたトム・クルーズ主演のハリウッド映画『カクテル』です。劇中で主人公たちが華麗なフレアバーテンディングとともにこのカクテルをシェイクする姿が描かれ、映画カクテルとトムクルーズの影響力によって、一躍世界中で知られるグローバルスタンダードへと昇華しました。