玄米を常温のまま長期間保管することは、食品衛生および品質維持の観点から大きなリスクを伴います。玄米の表層にある糠層には約15〜20%の脂質が含まれており、これが空気中の酸素と結合すると過酸化脂質へと変化します。この脂質の酸化こそが、炊き上がりのパサつきや特有の油臭(古米臭)の主原因です。
さらに深刻なのが害虫問題です。米に付く代表的な害虫であるコクゾウムシやノシメマダラメイガは、気温が15℃を超えると活動を始め、20℃以上になると爆発的に繁殖します。現代の高気密・高断熱住宅では、冬場でも室内が20℃前後に保たれているケースが多く、人間の過ごしやすい環境は害虫にとっても理想的な生息環境になってしまいます。
農林水産省などの保管指針でも、米の呼吸作用を抑えて品質低下を防ぐ境界線として「温度15℃以下・湿度70%以下」の環境維持が推奨されています。温度を15℃以下に下げることで、害虫の活動は完全に休眠状態となり、玄米自体の呼吸による自己消耗や酸化スピードを極限まで遅らせることが可能です。