SNSやネット掲示板を検索すると、「昭和60年の500円玉が5万円で売れた」「家財整理で大儲け」といった体験談を目にすることがあります。取材班がこうした情報の裏付けを取ったところ、多くの誤解とすり替えが潜んでいることが判明しました。
第一の誤解は、「エラー硬貨との混同」です。製造工程のミスで刻印が著しく中心からズレた「偏芯エラー」や、両面が同じデザインになってしまった「陰打ちエラー」など、造幣局の検品を奇跡的にすり抜けた極少数のエラー品には数十万円の査定が下りることがあります。ネット上の高額取引ログはこうした特殊事例の切り抜きであり、手元の通常の硬貨に当てはまるものではありません。
第二の誤解は、「同年に発行された貴金属記念貨幣との取り違え」です。昭和末期から平成初期にかけては、純金を用いた10万円金貨や純銀の1万円銀貨などが相次いで発行されました。これらを一括して「昭和の記念硬貨」として語る言説に惑わされ、白銅貨にすぎない内閣制度100年硬貨まで同じ価値があると錯覚してしまうケースが後を絶ちません。