Official髭男dismが提示したモダンJ-POPの金字塔『Pretender』は、音域の広大さと高音滞在時間の長さにおいて、ボーカル曲として極めて過酷なスペックを持っています。まずは楽曲全体の構成と、最高音・最低音の正確な出現ポイントを整理します。
本楽曲の全体の音域は、最低音が「mid1D#(D#3)」、最高音が裏声(ファルセット)を含めると「hiC#(C#5)」、地声(ミックスボイス)最高音は「hiA#(A#4 / Bb4)」に設定されています。音域幅はおよそ1オクターブと10音(約2オクターブ弱)に達し、一般的な成人男性の平均的な実用音域(およそ1オクターブ半:mid1A〜mid2F程度)を完全に逸脱しています。
最低音のmid1D#は、曲の冒頭であるAメロ「君とのラブストーリー」「たわいもないくだらない話」といったフレーズの語頭や語尾に出現します。ここは落ち着いたトーンで自然に発声できる領域ですが、問題はそこから一気に跳躍していくメロディ展開にあります。そして、リスナーの耳に最も強く突き刺さるサビの象徴的フレーズ「グッバイ」の「バ」の部分で、地声最高音であるhiA#へと一気に突き抜けます。