映画『ベートーベン』の初代主役を務めたのは、クリス(Chris)という名前のオスのセントバーナードです。数々のハリウッド映画で動物たちを指導してきた伝説的アニマルトレーナー、カール・ルイス・ミラー氏によって育てられたクリス犬俳優は、映画界でも指折りの天才ドッグアクターとして知られていました。
クリスは単に指示に従うだけでなく、「不満そうなため息をつく」「家族の会話に絶妙なタイミングで首をかしげる」といった繊細な感情表現をこなす驚異的な演技力を発揮しました。窓から飛び出したりワゴン車を引っ張ったりするダイナミックなアクションも自らこなし、現場のスタッフや共演者を唸らせたといいます。
気になる「ベートーベン犬の現在」についてですが、大型犬であるセントバーナードの平均寿命はおよそ8〜10年とされています。初代クリスは第1作の撮影終了後、続編の準備期間を経てミラー氏の広大な農場で穏やかな隠居生活を送り、1990年代半ばに天国へと旅立ちました。彼が銀幕に残した屈託のない笑顔と奇跡の名演技は、今も映画史に燦然と輝くレジェンドとして語り継がれています。