容量(Capacity)は、前述した基本量(Volume)が2つ以上合体したものです。試験問題や臨床データで出題される計算式は複雑に見えますが、どの位置のブロックを足し合わせているかを確認すれば極めて単純な算数にすぎません。
押さえるべき基本計算式は次の4パターンです。
- 最大吸気量(IC)= 1回換気量(TV)+ 予備吸気量(IRV)
普段の息を吐ききったフラットな状態(安静呼気位)から、限界まで吸い込める限界値です。 - 機能的残気量(FRC)= 予備呼気量(ERV)+ 残気量(RV)
普段の息を吐ききった時点で、肺の中に残っている空気の総量です。 - 肺活量(VC)= 予備吸気量(IRV)+ 1回換気量(TV)+ 予備呼気量(ERV)
あるいは「最大吸気量(IC)+ 予備呼気量(ERV)」とも表現されます。生体が自力で換気できる最大の空気量です。 - 全肺気量(TLC)= 肺活量(VC)+ 残気量(RV)
4つの基本量をすべて足したもの(TV + IRV + ERV + RV)、または「最大吸気量(IC)+ 機能的残気量(FRC)」としても表されます。
急性期医療の現場において、国際医療福祉大学成田病院の元看護部長である道又元裕氏らの専門書や臨床解説でも強調されているのが、機能的残気量(FRC)の臨床的重要度です。息を吸っていない時でも肺胞が虚脱せず、血液への酸素供給が途切れないのは、このFRCがクッションの役割を果たしているからです。集中治療における呼気終末陽圧(PEEP)の設定も、まさにこのFRCを人工的に維持・回復させて肺胞虚脱を防ぐ論理に基づいています。