原価割れ販売は企業の自由な価格設定に見えますが、無制限に許されているわけではありません。市場の公正な競争を破壊する過度な値下げは、独占禁止法(第19条:不公正な取引方法)における「不当廉売」として違法行為に認定されます。国際貿易の文脈では「ダンピング」とも呼ばれ、厳しい制裁の対象です。
公正取引委員会が定めるガイドラインでは、以下の要件を満たす場合に不当廉売と判断されます。
【不当廉売とみなされる主な判断基準】
・正当な理由がないにもかかわらず、商品・役務を「供給に要する費用を著しく下回る対価」で継続して供給すること。
・その行為によって、他の事業者の事業活動を困難にさせるなど、市場の公正な競争秩序に悪影響を与えるおそれがあること。
過去には、ガソリンスタンド同士の過度な値下げ合戦や、大手流通チェーンによる特定酒類の過激な安売りに対して、公正取引委員会から警告や排除措置命令が出された事例があります。ただし、季節外れの衣料品処分、生鮮食品の見切り販売、災害や倒産に伴う緊急換金セールなどは「正当な理由」があると認められ、違法とはみなされません。