明石歩道橋事故は、決して突発的な自然災害ではなく、防ぐ機会が幾度もあった「構造的な人災」であったことが捜査および法廷で明らかになっています。最大の要因は、兵庫県警明石警察署、明石市、警備会社(ニッケン警備保障)の3者による警備体制の過失と指揮系統の麻痺でした。
当時の報道各社の取材データおよび事故調査報告によると、警察と主催者側は事前の警備計画段階で暴走族対策を最優先とし、歩道橋の雑踏対策要員を前年の約半分に削減していました。さらに、当日現場には歩道橋の滞留状況を監視する専任の責任者が配置されておらず、花火大会開始前から危険な過密状態が進行していたにもかかわらず、入場規制や一方通行化などの抜本的な措置は講じられませんでした。
さらに深刻だったのは、兵庫県警本部の通信指令室に市民から「歩道橋で人が倒れている」「子どもが押しつぶされそうだ」という緊急通報が数十回も寄せられていた点です。これらの緊迫した110番情報が明石警察署の現地警備本部に適切に伝達されず、警備本部長ら幹部が現場の異常事態を把握したのは、すでに多数の心肺停止者が出た後でした。