校則の緩和が進んでいるとはいえ、教育の現場では依然として生徒、保護者、教員の間に認識のズレや摩擦が残っています。
大手コミュニティサイトやSNS、知恵袋などに寄せられる相談を分析すると、最も深刻なのは「教員個人の主観による指導のバラつき」です。都内の公立中学校に通う女子生徒の手記には、次のような切実な吐露が記されています。
「生徒手帳には『清潔な髪型』としか書いていないのに、生活指導の先生に呼び出され、『その触覚は長すぎるからピンで留めろ』と怒られました。友達は同じ長さでも何も言われていません。基準が先生の気分次第で変わるのが一番怖いです」
保護者からも困惑の声が上がっています。中学2年生の娘を持つ母親は、保護者会でのやり取りをこう振り返ります。
「娘は毛量が多く、中学校の女子髪型でお団子ヘアの校則がグレーだったため、体育のたびに髪が崩れて何度も結び直していました。学校側に相談したところ、『お団子は華美に見える』と当初は難色を示されましたが、生徒会で議論が持ち上がった結果、崩れないように低めの位置でまとめる形ならOKという合意が取れました。話し合いの場が持てたことは前進だと感じます」
一方で、教員側にも防衛的な心理が働いています。公立中学校で学年主任を務める40代教員は、取材に対して胸中を明かしました。
「ルールを撤廃すること自体に反対ではありません。ただ、『華美でないもの』という曖昧な表現にすると、一部の生徒がアイロンで強く巻いたり凝った編み込みをしてきたりして、注意すると『校則に書いていない』と反論されます。結果として生徒同士のトラブルや保護者からのクレーム対応に追われるため、明確な白黒ラインを欲してしまう指導側の苦悩もあります」