街を歩いていて最も多くの人が「あの気品ある花は何だろう」と足を止めるのが、初夏から盛夏にかけて青紫色の花を放射状に咲かせるアガパンサスです。住宅街の塀沿いや公園のロータリーなど、過酷なコンクリートの照り返しにも動じず直立する姿は、夏の風物詩ともいえる存在感を放っています。南アフリカ原産のこの植物は「アフリカンリリー」とも呼ばれ、別名を紫君子蘭(ムラサキクンシラン)とも称されます。
一方、民家のフェンスやベランダから溢れるように垂れ下がり、淡い藤色の花を密集させているのはルリマツリ(プルンバゴ)です。初夏から10月下旬まで途切れることなく咲き続ける驚異的な花期の長さが特徴で、近年はヒートアイランド現象に悩む都市部の目隠しや緑化フェンスとして爆発的な支持を集めています。
さらに、足元に目を移すと、花びらの中心が濃い紫で縁が淡いグラデーションを描くスミレに似た小花に出会います。これがトレニア(ナツスミレ)です。一般的なスミレが春で姿を消すのに対し、トレニアは熱帯アジア原産ならではの圧倒的な耐熱性を誇り、プランターやハンギングバスケットで夏の街角を絶え間なく彩っています。
こうした花々を目にした通行人がSNSや園芸コミュニティに「駅前の紫の大きな花の名前を教えてほしい」「ご近所で見かける涼しげな低木の正体は?」と投稿する事例は年々増加しており、夏の紫の花に対する関心の高さがうかがえます。