本作の情緒豊かなトーンを支えているのが、徹底してロケーションにこだわった映像美です。主要な舞台となったのは、海と緑が共存する千葉県房総エリア(木更津市、君津市、袖ケ浦市)でした。
二人が通う高校の校舎シーンやグラウンドでの撮影には、房総エリアの実在する学校施設が活用されました。東京近郊でありながら、どこか懐かしい昭和から平成の情緒を残す広々とした空と光の入り方が、物語の持つノスタルジーを際立たせています。
また、有馬とつかさが並んで歩く坂道や、海辺の防波堤、駅前ロータリーなど、ファンの間で聖地巡礼スポットとして親しまれているロケ地は、映画の公開から数年が経過した現在でもファンの訪問が絶えません。現場を歩くと実感するのは、本作がいかに「自然光の美しさ」を大切に切り取っていたかという点です。作為的な照明に頼りすぎず、木漏れ日や夕刻のマジックアワーを待って撮影された情景が、登場人物たちのピュアな心情とシンクロしています。