「濁りが気になるから」と、従来の精白米と同じ感覚でゴシゴシとお米を研いでしまうのは、かえってご飯の美味しさを損なう典型的なNG行動です。無洗米を強く洗うことで生じるデメリットは、味覚と食感の両面に決定的なダメージを与えます。
米粒の表面は肌ヌカが取り除かれているため非常にデリケートです。強い力で研ぎ洗いを行うと、米粒の表面に無数の細かい亀裂が入ります。その結果、炊飯時にデンプンが過剰に湯中へ溶け出して糊(のり)状になり、「ご飯全体がベチャつく」「粒立ちがなくなり団子状に固まる」という食感の崩壊を引き起こします。さらに、米の旨味成分であるグルタミン酸や水溶性ビタミン類が研ぎ汁とともに流れ出てしまうため、炊き上がりの味が極端に薄く感じられる原因にもなります。
一方で、SNSや料理専門家の間で推奨されているのが「1回だけサッと軽くすすぐ」というアプローチです。これは矛盾しているように思えるかもしれませんが、明確な科学的理由が存在します。
お米の銘柄やロットによっては、表面の遊離デンプン粉が多いケースがあります。デンプン濃度が高すぎる状態のまま炊飯すると、釜の底にデンプンが沈殿して糊化し、炊飯時の熱対流(水の循環)が阻害されてしまいます。熱の回りが悪くなると、釜底は焦げつきやすく、上部は芯が残ったりパサついたりする「炊きムラ」が生じます。水を注いですぐに1回だけ軽くかき混ぜて水を捨てる「ひとすすぎ」を行えば、過剰な遊離デンプンだけが適度に取り除かれ、理想的な熱対流が生まれて粒立ちの良いツヤツヤのご飯に仕上がります。