ワーナー・ブラザース傘下のAdult SwimとプロダクションI.G USAがタッグを組んで制作されたアニメ版『うずまき』は、北米をはじめとする海外で社会現象ともいえる反響を呼びました。音楽には映画『メッセージ』や『ボーダーライン』でアカデミー賞候補となった現代音楽の巨匠コリン・ステットソン(Colin Stetson)を起用。原作の緻密なハッチング(網掛け描写)をそのまま動画に落とし込んだモノクロ調の映像は、放送前のティザーPVが公開された時点で数百万再生を突破しました。
実際に第1話が北米で先行放送された直後、RedditやX(旧Twitter)では「ホラーアニメの歴史を塗り替えた」「動く伊藤潤二の生原稿そのものだ」と絶賛の嵐が巻き起こりました。しかし、第2話以降が配信されると状況は一変します。キャラクターの動きがぎこちなくなり、背景の緻密さが損なわれるなど、作画の乱れが露骨に現れ始めたためです。
エグゼクティブ・プロデューサーのジェイソン・デマルコ氏がSNS上で「パンデミックの影響や制作スタジオの逼迫により、予算とスケジュールの限界に直面した」という旨の苦悩を吐露する事態へと発展しました。しかしながら、後半の作画トラブルを差し引いても、劇伴音楽が醸し出す重厚な不気味さと、第1話およびクライマックスで見せた執念の映像美は「不完全な傑作」として今なお語り継がれています。