これまでニキビケアといえば、原因菌を強力に死滅させることが正義とされてきた。だが、近年の皮膚科学研究がその定説を覆した。アクネ菌(Cutibacterium acnes)自体は、肌の酸性度を保ち病原菌の繁殖を防ぐ大切な常在菌の一種であり、問題なのは特定の悪玉株の異常増殖と菌叢全体のバランス崩れだったのだ。
「皮脂を根こそぎ落とし、肌の菌を全滅させるような洗顔は、かえって肌の自浄作用を奪います」。都内美容皮膚科医のインタビューで語られた言葉が象徴的だ。最新のトレンドは、善玉菌の生息環境を守りながら、炎症の引き金となる不要な酸化皮脂だけをピンポイントでキャッチする「スマート洗顔」だ。この流れを受けて、2026年の洗顔料市場には常在菌の栄養となるプレバイオティクス成分を配合した製品が相次いで投入されている。