2026年の現場をさらに苦しめているのが、地球温暖化に伴う生態系の変化だ。かつて鳥インフルエンザは「冬に渡り鳥が飛来する季節」に警戒すれば済む限定的な脅威だった。しかし、北極圏やシベリアの気温上昇により、渡り鳥の越冬地や移動ルートが複雑化し、ウイルスの持ち込み時期が通年化・長期化している。
渡り鳥自身は強い抗体を持っているため、ウイルスを保持したまま広範囲を飛び回り、フンや羽毛を通じて水辺や野山にウイルスを撒き散らす。どれほど農場が防鳥ネットや消毒設備を強化しても、風に乗った塵埃やネズミなどの小動物を介した微量ウイルスの侵入を100%防ぐことは極めて困難になっている。
自然界からのウイルス圧力がかつてないほど高まる中、万が一農場網を突破された際の「即時遮断=殺処分」への依存度は、皮肉にもこれまで以上に高まっているのが現状だ。